拝啓
立秋とは名ばかりの暑さ続きでございますが、
いかがお過ごしでしょうか?
4月に理事長に就任して以来、歴史ある当協会の舵取りを任され
責任を痛感しながら、新しい取り組みも始まり、
協会の新たな変化と成長を実感する日々です。
これも、会員の皆様の温かいお力添えのおかげだと思っています。
本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです。
そんな日々の中、先日、ある講演が気になり参加したところ、
「ありがとうの反対は何か知っていますか?」という質問がありました。
皆様はご存知ですか?
なんと、ありがとうの反対は『当たり前』だ!というではありませんか…。
一瞬、意味不明でしたが、元の意味をたどると漢字では
「有難い」と書きます。有ること難し、つまり、「ありがとう」は
「ありえないことが起こった!」という驚きと感動の言葉であり、
感動が感謝に転じて、今は使われているんですね。
それを聞いて、ほぅ~~~っと感心する自分とともに、ハッとする
自分がいました。「当たり前」の中に、実はたくさんの「ありがとう」が
あるのに、それに気付かずに生活しているのではないかと…。
まず、思い浮かんだのは妻です。
現在、妻が仕事を手伝ってくれているのですが、
初めは申し訳ないと思っていたのに、だんだん身内だからこそ
当たり前という気持ちになり、仕事への要求度が高くなっている
自分がいることに気付きました。
まずは、妻にきちんと感謝しなくちゃと反省した次第です。
また、当たり前といえば父親の存在です。実は、2年ほど前、
肺がんが見つかり余命半年ということがわかりました。
当たり前に存在していた父がこの世からいなくなる。
その衝撃から2年2カ月が経ちました。
昔は大嫌いだった父親ですが、幸い、心理学を学び、
カウンセラーとしての経験のおかげで、肺ガンになる前から
徐々に父親と向き合うことができるようになっていた私は、
肺がん発覚後はさらに関係が深まり、父親の本当の強さや
優しさを感じることができる日々でした。
最近、主治医から
「お父様と同じ状況だった人はもう90%は亡くなっており、
よく頑張ったほうです。」と言われました。
その時、母親と一緒に、
「そうか生存者の10%に入ったんだ…。家族としてもう十分だよね。
人間、死ぬのは当たり前だもん…」
と話したことを思い出しました。
そうだ、当たり前という言葉に触れた時、
大事なことを忘れてはいないか…。
私は、改めて、死を迎えるその瞬間まで、
たくさんの「ありがとう」を父に伝えていこうと心に誓いました。
会員の皆様には感謝の気持ちがすぐ上がってくるのに、
身内となると、大切なものが見えにくくなるんですね。
そんな未熟さも受け取りながら、精進していこうと思います。
敬具
NPO法人コアカウンセリング支援協会 理事長 宮崎勝博 |